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CMA2次試験ノート(H27午後)

証券アナリスト

過去問メモ。カッコ内のサブタイトルは適当です。
H27午前: CMA2次試験ノート(H27午前)
H27午後: CMA2次試験ノート(H27午後)
H26午前: CMA2次試験ノート(H26午前)
H26午後: CMA2次試験ノート(H26午後)
H25午前: CMA2次試験ノート(H25午前)
H25午後: CMA2次試験ノート(H25午後)

第1問(日本の交易条件とインフレターゲット政策)

2000年代以降の日本の交易条件の推移と、輸出入価格に関連してインフレターゲット政策について問う問題。

  • グラフの折れ線のうちどれがどれかという問題。(GDP) + (交易損失/利得) = (GDI) をふまえればわかる。
    • 日本の交易利得は2007年にマイナスに転じ、2007年~2009年に急激に悪化したことがわかる。資源・穀物価格の高騰(サブプライムローン問題を受けた、コモディティ市場への資金流入;「単純さへの逃避」)が背景にある。外国為替市場での「質への逃避」による円高進行もあったが、輸出価格はほとんど上昇しておらず(値上げに踏み切らなかった)、交易条件悪化は抑制されていない。
  • 為替レートのみ変化した場合交易条件はどう変化するか: 日本の場合、輸入の方が外貨建比率が大きいので、円高(安)のときに交易条件がよくなる(悪くなる)。
  • 原油価格の下落が消費者物価指数に影響を及ぼすルート: ガソリン代、電気代など。
  • 交易条件の改善要因が資源価格変動のときと円高のときの違い: 後者の場合、輸出へはマイナス影響。
  • インフレーション・ターゲティングの利点・問題点:

利点 金融政策の透明性向上につながる。
予想インフレ率安定化が期待される。
問題点 インフレにだけ焦点をあてずに、全てのマクロ経済政策目的を見据えるべき。
意図通り物価上昇するのかわからない。
バブル(資産価格の暴騰)を誘発する危険性がある。

  • 異次元緩和のメリット・デメリット:
    • 量的金融緩和政策 - Wikipedia なども参考にすると少なくとも以下のようなことがあると思われるが網羅的ではない。一般論ではなくて2014年末頃での欧米情勢も踏まえた回答が求められているのかもしれないけど書けないので書いていない。

メリット 世の中のマネーの総量が増えインフレ期待が高まり、デフレからの脱却が可能となる。
ゼロ水準の短期金利が長期間に渡って続くという期待が強まり、長期金利が低下し
景気を押し上げる。
デメリット 急激な円安や物価上昇を招く危険性がある。
円安や物価上昇が原油安のメリットを打ち消す。
バブル(資産価格の暴騰)を誘発する危険性がある。

第2問(日本経済の資産効率)

企業の財務指標に喩えて日本経済の資産効率を考える問題。

  • 日本経済で、企業の減価償却費(本当は出費していないが利益の認識のために差し引くお金)に相当するのは、固定資本減耗(機械や工場が摩耗した分)。
  • 企業にとっては費用として差し引くが、日本経済ではGDPに含むものとしては、人件費や支払利息がある。
  • ROA 一定のままで ROE を高めるには、ROE = ROA * (総資本) / (自己資本) なので、借り入れによって他人資本を増やすか、自社株買いで自己資本を減らせばよい。
    • この方法で ROE を高める問題点としては、
      • 景気後退時や金利上昇時、利払いにより収益悪化する。
      • 景気後退時や金利上昇時、元利金を返済できず倒産する危険性が高まる。
      • 信用リスクが高まり借り入れ利率が上昇する。
  • 国民所得に占める雇用者報酬の割合を労働分配率という。

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  • それで結局日本経済のROAを高めるには、
    • (分子)利益率の高い新製品を開発する。
    • (分母)収益率の低い資本を削減する。
第3問(株式ポートフォリオのスマートベータ運用)

スマートベータ戦略のポートフォリオを題材にしているが、一般的な株式ポートフォリオ戦略に関する問題。
第227回 スマートベータをどう考えるか | 山崎元「ホンネの投資教室」 | 楽天証券
リスク・パリティによるスマートベータの合成 | ニッセイ基礎研究所

  • 株式ポートフォリオ組成の際にどのような銘柄を除外することがあるか:
    • 流動性が低い銘柄(リバランス時の取引コスト的に)
    • 意思決定に必要な情報が入手しにくい銘柄
    • デフォルト確率が高い銘柄(リスク許容度に照らし合わせて)
    • スポンサーが反社会的と規定する銘柄(この場合、ベンチマークも調整する必要があることも)
  • 投資ユニバースが17業種ETFの場合、東証一部全銘柄の場合と比べてどのような長所と短所があるか。

長所 ファンド数が少なくリバランスしやすい。
一般に流動性が高く取引コストが小さい。
短所 分散効果が限定的になる。

  • TOPIXベンチマークとするパッシブ運用では各銘柄の価格変動に伴うリバランスは不要(時価総額ウェイトのため)。東証一部全銘柄の均等ウェイトをインデックスとするスマートベータの場合は、均等ウェイトを維持するために各銘柄の価格変動に応じたリバランスが必要。
  • ファーマ-フレンチの3ファクターモデル - Wikipedia
    • CAPM に小型株効果、バリュー株効果を加味した株価収益率モデル(以下、FF3と表記)。
  • 東証一部全銘柄の均等ウェイトをインデックスとするファンドのFF3の  \beta_{\rm SMB}時価総額リスクファクターのベータ)が正になっているのはなぜか:
  •  f_{\rm HML}(簿価時価比率リスクファクター)は、簿価時価比率の高い銘柄のポートフォリオと簿価時価比率の低い銘柄のポートフォリオのリターン格差から生成する。
    • (簿価時価比率) = (一株あたり純資産) / (株価) = 1 / (株価純資産倍率)
      • 簿価時価比率が 1 のとき株価が解散価値と等しい。
      • 簿価時価比率が 1 より大きいとき、株価は割安といえる(バリュー株)。
  • ROE銘柄から構成したあるファンドはTOPIXをシングルファクターとするマーケットモデルにおいてアルファが統計的に有意に正だったが、FF3のアルファは統計的に有意に正とはいえない水準だった。FF3の推定結果から、どのような要因が考えられるか:
    •  \beta_{\rm SMB} < 0 なので、小型株ではなく大型株の収益率が良好であったと考えられる。
    •  \beta_{\rm HML} < 0 なので、バリュー株ではなくグロース株の収益率が良好であったと考えられる。
  • あるファンドの  \beta_{\rm TOPIX} の推定値は 0.71 で、推定値の t 値は 17.1 だった。 H_0 : \beta_{\rm TOPIX} = 1有意水準5%で両側検定せよ(ただし、統計量 t は正規分布にしたがうとする):
    • t = (推定のずれ)/(推定の標準誤差) = (0.71-1)/(0.71/17.1) = -6.98 < (正規分布の下側2.5%点)
      なので、 H_0 : \beta_{\rm TOPIX} = 1 だったら推定値 0.71 は出ないんじゃないかな(棄却)。
  • 新しくスマートベータに基づくファンドを採用する際注意すべき点:
    • 既存のアクティブファンドとスタイルが類似していないか。
    • 既存のアクティブファンドのアクティブリスクとの相関が高くないか。
    • アクティブファンドの比率は許容範囲内か。
第4問(デリバティブによるヘッジ)

先物/オプションによるヘッジの問題。

第5問(ファンダメンタル・ファクター・モデル)

PEAD を検証し応用しようという話になっているが、ファンダメンタル・ファクター・モデルに関する問題。
PEAD: 決算発表でよい(悪い)ニュースが出た企業はしばらくの間正(負)の超過リターンが継続する現象。
Post-earnings-announcement drift - Wikipedia, the free encyclopedia

  • ファンダメンタル・ファクター・モデル: 個別銘柄間のリターン格差を、財務指標や企業規模などの個々の銘柄特性に基づくファクターで説明しようとするモデル。
    • この問では、「決算発表でよい/悪いニュースが出た」以外の要因で説明できるリターン格差の影響を排除するために、ファンダメンタル・ファクター・リスク調整後の超過リターンを用いて議論している。
  • PEAD が発生する要因を推測せよ:
    • 流動性の影響で、市場価格に反映されるまでに時間がかかかる(小型株に顕著、と整合的)。
    • 市場参加者がニュースをいきなり全て確信せず、徐々に受け入れていくため(ウィキペディアにちょろっとあるのはこっち)。
  • PEAD の超過リターンを狙う戦略が上手くいかない可能性:
  • 決算発表前に PEAD 兆候が継続することの解釈:
    • アナリストが業績予想の上方(下方)修正をし続けるため。
    • または、業績予想に追随する市場参加者によるポジティブ・フィードバックのため。
  • この問のデータから、PEAD 兆候を追いかける戦略を有効と判断するのは不十分な理由:
    • この問のデータが示すのは、「正の大きい PEAD がある ⇒ 正の PEAD 兆候がある」であって、「正の PEAD 兆候がある ⇒ 正の大きい PEAD がある」ではない。
第6問(デフォルト確率の推定とクレジットデフォルトスワップ

前半がデフォルト確率の推定(といえるのか)の話で、後半がクレジットデフォルトスワップの話。

  • デフォルト確率を負債比率で単回帰することを考える。
    • 線形回帰分析がどのようなものか説明せよって逆に難しくないですか…何を書けばいいのかが…。
    • この推定の問題点を指摘せよ → 問題点しか見当たらないんですが…。なんで被説明変数が0と1の状態で単回帰しようとするのか…。
      • まず、このモデルでは推定デフォルト確率が0を下回ったり、1を超える。
      • また、単回帰モデルの場合、デフォルト確率の負債比率への感応度が負債比率の水準によらない。現実には負債比率 10%→20% と 20%→30% のデフォルトリスクの上がり具合は違うだろう(モデルが駄目)。この例ではロジスティック回帰の方が適切らしい(ロジスティック回帰でも負債比率の水準ごとの感応度を上手く説明できるのだろうか…)。
  • 次の社債のデフォルトリスクをヘッジするクレジットデフォルトスワップ契約の現在価値を計算せよ。
    X銀行はY社が発行した残存期間1年、額面100円の割引債を保有している。
    この社債の1年のリスク中立デフォルト確率は3%、回収率は50%である。
    リスクフリー・レートは1%である。
    • デフォルトしたとき損失する確率: 50円
    • 期待損失: 0.03×50円
    • 期待損失の現在価値: (1/1.01)×0.03×50円
第7問(ポリシー・アセット・アロケーション

ポリシー・アセット・アロケーション(PAA)からの乖離許容幅を考える問題。

  • A年金基金の効用関数  U(x)=[-(A/2\tau)x^2+(B/\tau +C)x +D]n を最大にする株式への配分比率  x^\ast は、
     \displaystyle \frac{\partial U(x)}{\partial x} = \left( -\frac{A}{\tau}x+\frac{B}{\tau}+C \right)n=0 より、 \displaystyle x^\ast = \frac{B+C\tau}{A}
  • この比率で運用を始めたとしても、株価が下落すると株式への配分比率は  x^\ast より低くなるし、上昇すると  x^\ast より高くなる。
  • 取引コスト  k \Delta x を加味してもリバランスすべき株式への配分比率の下限  x_L は、取引コストを考慮した効用変化  \displaystyle \Delta U = \left[ \left( C - \frac{Ax - B}{\tau} \right) n + k \right] \Delta x より、\displaystyle x_L = \frac{1}{A}\left( C + \frac{k}{n}\right)\tau + \frac{B}{A}
  • 最適なリバランス・ルールは以下( x x^\ast まで戻すと、効用の改善以上にコストがかかるので戻さない):
    • 取引コストを加味してもリバランスすべき株式配分比率の下限  x_L を下回ったとき  x_L まで増やす。
    • 取引コストを加味してもリバランスすべき株式配分比率の上限  x_U を上回ったとき  x_U まで増やす。
  • PAAからの乖離許容幅は:
    • 取引コストが大きいほど拡大する(上で見てきた通り)。
    • 投資計画期間が短いほど拡大する(相対的な取引コストの増大を通じて)。
    • リスク許容度が大きいほど拡大する( x x^\ast からのずれに伴う効用の減少が小さくなるので、取引コストをかけてもリバランスしたい、というずれの水準はより大きくなる)。
第8問(リース取引の会計/退職給付会計)

リース取引の会計と退職給付会計の問題。一応、完全に1次レベル試験の範囲。
リース会計基準の概要 - 公益社団法人リース事業協会
退職給付会計の基礎講座 第5回 退職給付費用の計算 | KPMG | JP

  • この問のリース取引は、ファイナンス・リース取引である。
    • リース期間の中途において解約することができない。
    • フルペイアウトである(リース料総額の現在価値が見積現金購入価額の90%を超える)。
      または、解約不能のリース期間が、リース物件の経済的耐用年数の75%以上である。
  • リース料総額の現在価値:
    • 貸手の計算利子率(貸手の計算利子率がわからない場合は借手の追加借入利子率)を割引率とする。
  • リース資産の減価償却
  • 年度毎のリース費用の処理:
    • (支払リース料)=(リース債務に対する利息相当額)+(元本返済額) と区分する。
    • 各年度には、利息相当額と減価償却費を計上する。
  • まとめると以下の表のようになるはず。現実に発生するキャッシュフローであるA列を、費用の認識時はE列に組み直すのがミソ。

A B C D E F G
支払リース料 支払リース料
の現在価値
減価償却
(定額法)
リース債務
に対する
利息額
計上費用
(C+D)
元本返済額
(A-D)
残存リース債務
20x1年度末 37,200 35,094 31,340 9,402 40,742 27,798 128,902
20x2年度末 37,200 33,109 31,340 7,734 39,074 29,466 99,436
20x3年度末 37,200 31,234 31,340 5,966 37,306 31,234 68,202
20x4年度末 37,200 29,466 31,340 4,092 35,432 33,108 35,094
20x5年度末 37,200 27,798 31,340 2,106 33,446 35,094 0
合計 186,000 156,700 ★
リース料総額
の現在価値
156,700 ★ 29,300 186,000 156,700

  • 退職給付会計の勤務費用: 各会計年度に発生した退職給付(退職までの期間に応じ割り引く)。
  • 退職給付会計の利息費用: 期首時点における退職給付債務に対する、計算上の利息。
  • 退職給付費用: (勤務費用)+(利息費用)+(過去勤務費用処理)+(数理計算上の差異の処理)-(年金資産の期待運用収益)
  • 年金資産の期待運用収益と実際の運用成果に差異が生じた場合の処理:
    • 日本基準 : 平均残存勤務期間内の一定の年数で当期純利益に規則的に計上し、差異をその他の包括利益とする(過去勤務費用も同じ=退職給付の給付水準の改定等により発生した差異)。
    • 国際財務報告基準IFRS): 一括してその他の包括利益とする。
  • まとめると以下の表のようになるはず(この問では数理計算上の差異が生じるところは問になっていない)。

A B C D E F G
各年度に発生
した退職給付
(期間定額基準)
勤務費用
(Aの割引額)
利息費用 退職給付債務 年金資産 年金資産の
期待運用収益
(実績)
退職給付費用
(B+C-F)
20x1年度末 2,100 1,866 0 1,866 1,900 0 1,866
20x2年度末 2,100 1,922 56 3,844 3,895 95(95) 1,883
20x3年度末 2,100 1,979 115 5,938 4,012 195(117)  
20x4年度末 2,100 2,039 178 8,155      
20x5年度末 2,100 2,100 245 10,500      
合計 10,500
退職給付見込額
           

第9問(コーポレート・ガバナンスと企業価値
  • 指名委員会等設置会社 - Wikipedia
    • 指名委員会等設置会社が取締役会の中に設置する委員会は以下の3つ。各委員会を構成する取締役の過半数は社外取締役でなければならない。
      • 指名委員会(取締役の選任等に関する議案内容を決める)
      • 監査委員会(取締役および執行役の職務の監査とか、会計監査人の選任とかをやる)
      • 報酬委員会(取締役および執行役の個人別の報酬を決める)
  • スチュワードシップ責任: 機関投資家が問われる責任らしい。投資先企業と「エンゲージメント」という建設的な対話をして企業価値の工場や継続的成長を促し、顧客・受益者が享受する利益の増大を図らなければならない、ということ。背景は金融危機への反省とも(以下のページ)。
  • (正味運転資本) = (流動資産) - (流動負債)
  • 2014年度のX社の自社株買いの金額はいくらだったか:
    • 有利子負債がないのでフリーキャッシュフローをすべてペイアウトできる。
    • (2014年度のペイアウト)=(フリーキャッシュフロー)+(現預金減少分)=546億円
    • (自社株買いの金額)=(2014年度のペイアウト)-(現金配当)=446億円
    • クリーンサープラス関係を用いてもよい(要復習…)。
  • 企業価値EBITDA倍率は資本構成の影響を受けにくいが、PERは資本構成の影響を受ける。X社は有利子負債がないため、他企業との企業価値の比較には企業価値EBITDA倍率を用いる方がよい。
  • X社の企業価値評価額(今年度のフリーキャッシュフロー110億円、自己資本コストは7.5%、フリーキャッシュフロー成長率は永続的に2%とする):
    • X社は有利子負債がないので、自己資本コストがそのまま加重平均資本コスト。
    • フリーキャッシュフローの現在価値: 110億円 / (0.075 - 0.02) = 2000億円
    • これに現時点の現預金を足して、2120億円 が企業価値評価額。

もっとちゃんと復習しておきたい箇所がちらほら。