参考文献(この記事はほとんどこの文献の内容のまま): http://ee.sharif.edu/~bss/DarmoisTheorem.pdf
統計的因果探索手法の LiNGAM で実際に因果グラフを推測するアプローチの一つに、「正しくない因果的順序で回帰すると(原因の変数を結果の変数で回帰すると)、説明変数と残差が独立にならない ⭐」ことを利用して因果的順序を特定するものがありますが、⭐ を保証するダルモア・スキットビッチ定理の証明が気になったのでウェブ上で拾った参考文献の自分の訳をメモします。解釈の誤りは自分に帰属します。定理1と定理2の証明はありません(参考文献にも)。お気付きの点がありましたらコメントでご指摘いただけますと幸いです。
なお、ダルモア・スキットビッチ定理は以下の定理3で、「確率変数 がどちらも、非ガウス分布にしたがう の1次の項を含んでいる(係数 がどちらもゼロでない)ならば、 と は独立にならない」といっても同じです。LiNGAM の文脈では、 を結果変数の誤差項、 を結果変数、 を結果変数で原因変数を回帰したときの残差とすれば、 も も非ゼロであり、結果変数と誤差項が独立になりません。
補題1の証明
式において、以下のように、 は一定に保ちつつ と を変化させることを考える。定理1の証明は参考文献にはない。以下の2~7ページにありそう。読んでない。
[1810.01768] Three remarkable properties of the Normal distribution
[1810.01768] Three remarkable properties of the Normal distribution
定理2の証明も参考文献にはない。同じ主張が以下の記事にもある。
Cumulants - Scholarpedia
Marcinkiewicz (1939) は探せば出てくるがフランス語なので読めない。
おそらく以下のサーベイにもこの定理が載っているがこちらはたぶんフリーアクセス版がない。
A survey of the theory of characteristic functions | Advances in Applied Probability | Cambridge Core
Cumulants - Scholarpedia
Marcinkiewicz (1939) は探せば出てくるがフランス語なので読めない。
おそらく以下のサーベイにもこの定理が載っているがこちらはたぶんフリーアクセス版がない。
A survey of the theory of characteristic functions | Advances in Applied Probability | Cambridge Core
定理3の証明
としても一般性を失わない(∵ もし になる があれば という新しい確率変数にマージすればよい; もしこのマージした確率変数がガウス分布にしたがうならば定理1よりマージする前の確率変数もガウス分布にしたがう)。いま の特性関数は以下のようになる。
他方、 が独立であることから、 の特性関数は以下のようにならなければならない。
したがって、
両辺の対数をとって( は第2キュムラント母関数)、
ここで、左辺の であるような については右辺に移項する。それで補題1を適用すると、 であるような で は多項式であることがわかる。よって定理2より はガウス分布にしたがう(分散がゼロでないと仮定しないならば定数確率変数でもありうると思う)。