雑記

お気付きの点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。

  1. Amazon | Asymptotic Statistics (Cambridge Series in Statistical and Probabilistic Mathematics, Series Number 3) | van der Vaart, A. W. | Applied
    • 本記事はこの 26~27 ページの内容に尾ひれを付けたものである。筆者の誤りは筆者に帰属する。
  2. Moment (mathematics) - Wikipedia
    • "Transformation of center" に、点 a の周りのモーメントから点 b の周りのモーメントへの変換公式がある。

個々のデータ点が独立に同一の分布 F にしたがうサイズ n の標本  (X_1, \, X_2, \, \cdots, \, X_n) の標本分散 S^2 = n^{-1} \sum_{i=1}^n (X_i - \overline{X})^2 の漸近分布を知りたいです。

  • まず、標本分散 S_n^2 はいつも S_n^2= \overline{X_n^2} - \overline{X_n}^2 \equiv \phi(\overline{X_n}, \, \overline{X_n^2}) とかけます。ここで、\phi\phi(x_1, x_2) = x_2 - x_1^2 なる2変数関数であり、そのヤコビ行列も後の都合上計算しておくと、\phi'(x_1, x_2) = \left( \begin{array}{c} -2 x_1 & 1 \end{array} \right) です。
  • また、中心極限定理より、確率ベクトル  \sqrt{n} \left( \begin{array}{c} \overline{X_n} - \alpha_1 \\ \overline{X_n^2}  - \alpha_2 \end{array} \right) は、漸近的に2変量正規分布 G \equiv \mathcal{N} \Biggl( \left( \begin{array}{c} 0 \\ 0 \end{array} \right), \, \left( \begin{array}{cc} \alpha_2 - \alpha_1^2 & \alpha_3 - \alpha_1 \alpha_2 \\ \alpha_3 - \alpha_1 \alpha_2 & \alpha_4 - \alpha_2^2 \end{array} \right) \Biggr) にしたがいます。
    ここで、\alpha_k は分布 F の原点周りの k 次モーメントです。
  • これはデルタ法が適用できる状況です。つまり、\phi微分可能な関数であり、確率ベクトル T_n \equiv (\overline{X_n}, \, \overline{X_n^2}) と定ベクトル \theta \equiv (\alpha_1, \, \alpha_2) について、\sqrt{n}(T_n - \theta) が先ほど出てきた2変量正規分布 G にしたがう確率ベクトル T = (T_1, T_2) に分布収束しているという状況です。
    なのでデルタ法を適用すると、 \; \sqrt{n} \bigl( \phi(T_n) - \phi(\theta) \bigr)\phi' (\theta) T に分布収束します。
    したがって、 \; \sqrt{n} \bigl( S_n^2 + \alpha_1^2 - \alpha_2 \bigr)-2 \alpha_1 T_1 + T_2 に分布収束します。
……ここまではよいですが、では -2 \alpha_1 T_1 + T_2 がしたがう分布とはどのような分布なのでしょうか。\alpha_1 = 0 のときは、単に T_2 がしたがう分布ということなので、2変量正規分布 G の第2成分の周辺分布になるということですが……。

教科書 [1] の 27 ページでやっているように、そもそもいま標本分散の漸近分布を求めようとしているわけで、標本分散は定数を足し引きしても不変なので、Y_i = X_i - \alpha_1 という変数変換をして同じ議論を進めればよい。そうしたら Y_i の原点周りの1次モーメントは 0 になるので、単に2変量正規分布 G' の第2成分の周辺分布になる。このとき G' の分散共分散行列は Y_i の原点周りの 2, 3, 4 次モーメントでかけているはずだけど、それって X_i\alpha_1 周りの 2, 3, 4 次モーメントに他ならない。

あとまあ、-2 \alpha_1 T_1 + T_2 がしたがう分布を真っ向から求めようとしてもできる。-2 \alpha_1 T_1 + T_2 の特性関数が G の特性関数でかけることに着目して、あとは分散を計算すればよい。ただ、これでやると分散が原点周りのモーメントの式で出てくるから、\alpha_1 周りのモーメントに直さないと結局意味がわからないんだよね……項がいっぱい出てくるから参考文献 [2] の変換公式に当てはめてほしい……。

そうですか……。

続かない