お気付きの点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。
母分布が正規分布のときは標本分散がしたがう分布がわかります。ここで、 は自由度 のカイ2乗分布の意です。
母分布が正規分布でないときには標本分散がしたがう分布がわかりませんが、4次までの中心モーメントが有限であれば漸近分布がわかります。モーメントよりも尖度を分布の性質として議論することが多そうなので、尖度でも表記しておきます。命題 イ〈 標本分散が漸近的にしたがう分布 〉
を 1, 2, 3, 4 次の中心モーメント が有限であるような分布とし、 をそれぞれ独立に にしたがう確率変数とする。の分散を とおく。
このとき、 は に分布収束する。
命題 ウ〈 標本分散が漸近的にしたがう分布(尖度で表記する版) 〉
を 1, 2, 3, 4 次の中心モーメント が有限であるような分布とし、 をそれぞれ独立に にしたがう確率変数とする。の分散を とおく。
このとき、 は に分布収束する。
ただし、 は の尖度である。
を 1, 2, 3, 4 次の中心モーメント が有限、特に であるような分布とし、 をそれぞれ独立に にしたがう確率変数とする。
の分散を とおく。
これを示すには、以下のようにかき換えて、の分散を とおく。
また、 を自由度 のカイ2乗分布の上側 パーセント点とする。
を標準正規分布の上側 パーセント点とする。
を標準正規分布の累積分布関数とする。
このとき、 は に収束する。
このうえで を大きくとり、命題 ウ と後述の命題 オ の漸近分布によみかえます。
命題 オ〈 カイ2乗分布の自由度を大きくしたときの漸近分布 〉
をそれぞれ にしたがう確率変数とする。このとき、 は に分布収束する。