おかしい点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。
参考文献
- 線形システム論
- 可制御性・可観測性の講義資料がありました。
- 可制御性・可観測性 - 初級Mathマニアの寝言
- この方の記事のように正準分解形までいきたかったのですがはるか手前で力尽きました。
突然ですが、 に対し、 を以下のように定義することにします。つまり、 です。 は に依存しないことにします。
何かを入力すると何かが出力されるもののことを「システム」というらしいです。が、それだけだとシステムがどんな性質をもつかについて考察できないし、入力や出力とは何なのかもよくわからないので、ここではもっぱら方程式によるモデルのことをシステムと考えます。あと、ここで考えるシステムには何か放っておいてもひとりで勝手に変化していく「状態」というものがあって、この状態は「自身の現在の状態」の線形変換と「現在の入力」の線形変換を足し合わせた速度で変化します。そして状態の線形変換が出力されてきます。そういうシステムを考察することにします。逆に、勝手に変化していく「状態」を中で飼っていなければ明らかに好きなように制御できるのでそんなシステムを考察する必要はないわけです。 ここで、 とし、 を状態、 を入力、 を出力とよぶことにします。入力は状態そのものでなく状態の速度と線形の関係にありますが、現実ではこういうことはわりと(?)あります。コンデンサにある電位差を生じさせたいときにどう電流を流せばいいかや、ダンパを介してぶら下がった重りをある高さまで変位させるのにどう力を加えればいいかといったケースがそうです。そんな風に状態をぬるっと変えることができずじわじわ変えていくしかない場合はあります。
なお、入力 がある場合の状態を解くと以下のようになります(証明略)。
ここから本題ですが、システムの「可制御性」と「可観測性」は以下のように定義されます(お手元の本により異なる可能性があります)。 可観測性は状態 を一意に特定できる、といっても同じですが、それは初期状態 を一意に特定できることと同じです。
可制御性や可観測性がそう定義されるのはいいんですが、どんなときにシステムが可制御や可観測になるのかよくわかりません。先に結論を述べると、可制御性については以下が成り立ちます。 上の を可制御性行列、 を可制御性グラミアンというらしいです。
これを証明します。ここで、時刻 における状態は以下のようにかけることに注意します。システムが可制御であるということは、都合のいい を選べばこの式を任意の値にできるということです。
また、 についての積分と行列の積は交換することに注意します(行列やベクトルにうつす関数であっても積の微分公式は成り立つので、部分積分から示せます)。となると、直ちに以下が示せます。 に逆行列さえあれば を好きな値にできるわけです。この逆も示せます。つまり、好きに制御できるなら、 は正則であるということです。正則でないと仮定して矛盾を導きます。 条件 2. からも が正則であることが示せます。 この逆も示せます。ケーリー・ハミルトンの定理を使います。
(可制御性の残りの ⇒ 関係の証明と、可観測性の証明は未完です。) 上の を可観測性行列、 を可観測性グラミアンというらしいです。