お気付きの点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。
- Amazon | Asymptotic Statistics (Cambridge Series in Statistical and Probabilistic Mathematics, Series Number 3) | van der Vaart, A. W. | Applied
- G. Jogesh Babu and Bing Li. A Revisit to Le Cam’s First Lemma. Sankhya A 83, 597–606, 2021.
以下を示したいです。
(i) である。
(ii) ある部分列 に沿って ならば、 である。
問題は、 は であって でないので、 の時点で ではなく で に収束するような に置き換えておきたいです。 としておきましょう。
いや、 で と置き換えることは一般にできないけど……。
え、なぜです。Portmanteau の補題の (5) には「任意の開集合」とありますよ。であれば の はどんな正数でもよいでしょう。何でもいいっていったじゃないですか。
定数だったら何でもいいよ。 に依存したら駄目だよ。だって の最左辺は の下極限 をとっているんだもの。 が に依存したら下極限が変わっちゃうよ。というか最左辺では が下極限をとって消えるけど中辺には残るって明らかにおかしいじゃないか……。
本当ですね。ではいったいどうすれば……。
「じゅうぶん遅い」ってふわっとしていませんか。
まあ実際じゅうぶん遅ければよいし……[2] では を具体的に構成しているよ(Lemma 1. で)。といっても、 を達成する を とおいて、 を「 が 以上 未満だったら をとる」って構成しているだけだよ。本当にじゅうぶん遅い数列 をつくっただけだよ。
確かにそういわれるとやや冗長にも感じますが、やはり「じゅうぶん遅い」とかくだけでなく具体的に構成してほしいですよ……さておき、その を採用すれば、 は以下となります。 との共通部分をとっておきました。
証明できたね。ところで、補題の (i) は であるといっているけど、いま利用したのは になっているのは大丈夫?
え、それは、近接しているなら部分列 をとっても当然近接しているのだろうとてっきり…… 。
実際 であれば になるんだけどね(以下証明)。
- 可測集合列 について であるとする。
- このとき、 にない添え字については空集合で補った可測集合列 について である。
- いま であるので である。
- 収束する数列の部分列は同じ極限に収束するので である。
- 以上より、任意の可測集合列 について ならば である。