雑記: 参考文献の Citation Style の話

当ブログ内の参考文献の書式には揺れがある。標準の書式を検討したい。検討中である。

この記事の参考文献

  1. On the Nystrom Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning. https://www.jmlr.org/papers/v6/drineas05a.html(2022年4月20日参照).
    • グラム行列の Nyström 近似の誤差を議論した 2005 年の論文(の掲載雑誌のサイト)であるが、雑誌論文の例として挙げただけであり、本記事はこの論文の内容と関係ない。
  2. Which citation style to use for science [6 examples] - BibGuru. https://www.bibguru.com/blog/citation-styles-for-science/(2022年4月20日参照).
    • authorized な参考文献の書式を探していて最初に目に入ったサイトでこれを参考に本記事をかき出したが、面倒になってきたので CSE, AIP, ACS スタイルはとばした。
  3. APA Style ―引用文献の書き方―. https://www.u.tsukuba.ac.jp/~ushiro.yuji.gn/Seminar/Lecture/2012/1212APA_Tanaka.pdf(2022年4月20日参照).
    • APA スタイルにおけるミドルネームの配置がわからず検索したら出てきたので参考にした。
  4. 参照文献の書き方 S I S T 0 2 - 2007. https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12003258/jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST02-2007.pdf(2022年4月20日参照).
    • 我が国の科学技術情報流通技術基準 SIST は各所での参考文献の書き方で言及されているが、検索して出てくる SIST 公式らしい文書が軒並み not found on this server となる。上記の文書はちゃんとアクセスでき、内容も具体例含め詳細である。しかし本文中での citation 方法がない。
  5. [学生向け] レポート・論文に使える参考文献の書き方. https://www.usaco.co.jp/endnote/reference_report.html(2022年4月20日参照).
    • SIST02 を求めて漂流していてみつけたが本文中での citation のハーバード方式とバンクーバー方式の記述がある。
  6. 情報処理技法(リテラシ)II 第9回. https://www.cis.twcu.ac.jp/~konishi/wrtg19/wrtg19i.html(2022年4月20日参照).
    • 「表 9.1 Wordで利用可能な参考文献のスタイル」に色々なスタイルがある。表の APA の箇所にイニシャルとないが APA はイニシャルと思われる。
  7. IEEE Editorial Style Manual. https://www.ieee.org/content/dam/ieee-org/ieee/web/org/conferences/style_references_manual.pdf(2022年4月20日参照).

よく知られている参考文献の書式

例として、雑誌論文 [1] を世の中で知られている書式で citation してみる。雑誌論文 [1] は Journal of Machine Learning Research の 6 巻 72 号の 2153−2175 ページに掲載されている。著者は 2 名で第 2 著者にミドルネームがある。なお、下表の表記は各規格に厳格に則っていることを期さない。表の下の補足も参照のこと。

bibliography entry in-text citation
APA [2] [3] Drineas, P., & Mahoney, W. M. (2005). On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning. Journal of Machine Learning Research, 6(72):2153−2175. https://www.jmlr.org/papers/v6/drineas05a.html (Drineas & Mahoney, 2005)
Chicago [2] Drineas, Petros, and Michael W. Mahoney. "On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning." Journal of Machine Learning Research 6, no. 72 (2005): 2153−2175. https://www.jmlr.org/papers/v6/drineas05a.html (Drineas and Mahoney 2005, 2153−2175)
MLA [4] Drineas, Petros, and Mahoney, Michael W. "On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning." Journal of Machine Learning Research 6(2005): 2153−2175. (Drineas and Mahoney, 2005) ?
IEEE [2] P. Drineas and M. W. Mahoney, "On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning," Journal of Machine Learning Research, vol. 6, no. 72, pp. 2153−2175, Dec. 2005. [1]
SIST 02 (巻・号完全記述) [4] [6] Drineas, Petros; Mahoney, M. W. On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning. Journal of Machine Learning Research. 2005, vol. 6, no. 72, p. 2153−2175. (Drineas and Mahoney, 2005) ?
SIST 02 (巻・号簡略記述)(入手先URLを記述) [4] [6] Drineas, Petros; Mahoney, M. W. On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning. Journal of Machine Learning Research. 2005, 6(72), p. 2153−2175.
https://www.jmlr.org/papers/v6/drineas05a.html, (cited 2022-04-20).
(Drineas and Mahoney, 2005) ?
以下に補足を記す。

  • APA は出版年を著者名の直後に括弧書きする点、and ではなくアンパサンド記号を使用する点が特徴的である。ミドルネームは姓を前置しても真ん中に配置される。末尾の電子検索情報は DOI を記述した方がよいはずだがここでは適当に雑誌サイトの URL を記した [3]。[4] には巻数もイタリック体という記述があるが上では [2] にならってローマン体とした。
  • Chicago では号数がくるであろう箇所に出版年がくる。また、上で第1著者のみ姓を前置し第2著者をそうしていないのはそのようにみえたからである。電子検索情報は DOI を記述した方がよいはずである。
  • MLA も号数がくるであろう箇所に出版年がくる眷属である。雑誌名に下線を引くのが特徴的である。
  • IEEE はこの中で唯一姓を前置せず、この中で唯一ハーバード方式(本文中での citation が著者名と発行年)ではなくバンクーバー方式(本文中での citation が文献番号)でもある。発行年月を末尾に配置する。
  • SIST 02セミコロンで著者を区切るのが特徴的である。本文中での引用方法は [4] に明記がなかった。
参考文献の書式の検討

上記の中では「いちいち姓を前置しない」「発行年を末尾に置く」「巻数・号数・ページ番号がそれと明快である」という点で IEEE スタイルが最も筆者の好みだが、以下の点を modify したい。

  • ファーストネームをイニシャルにしない(アジア圏の著者など姓だけで認識しにくい場合があるから)。
  • 論文名をダブルクオートしない(機械学習系であまりこの書式をみないから)。
  • 発行年のみとし月までは明記しない(機械学習系でそこまで明記する書式をみないから)。
  • 入手 URL があれば末尾に記述する(便利だから)。

そうすると以下である。

bibliography entry in-text citation
雑誌論文 Petros Drineas and Michael W. Mahoney. On the Nyström Method for Approximating a Gram Matrix for Improved Kernel-Based Learning. Journal of Machine Learning Research, vol. 6, no. 72, pp. 2153−2175, 2005. https://www.jmlr.org/papers/v6/drineas05a.html [1] or [Drineas and Mahoney, 2005]
本文中での citation をハーバード方式にするかバンクーバー方式にするかは場合によって使い分けたい。筆者はバンクーバー方式が好みでそれに対応した CSS を記述したが(この記事を含めた最近の多くの記事の冒頭のように)、ブログでは文献番号を管理できないために事故が起きやすく、ハーバード方式が適するのではと思い始めたからである(しかし文中での記述が面倒なので本当に採用するかはわからない)。

よく参照するソースの書式の検討

雑誌論文については上の書式で引用したいと思う。が、雑誌論文以外にも引用しうる媒体は色々あり、書式を定めておかなければ迷ってしまう。無論 IEEE では色々なケースについて引用の書式が規定されているが [7]、何がどのケースに当てはまるか、書誌要素をこの通り揃えられるかは考える必要がある。以下にはいくつかの例で仮に考えた書式を示す(IEEE が求める書誌要素はこれでは足りない)。考え方は以下である。

  • IEEE で会議の論文を引用する書式([7] の 9 ページ)では会議の開催都市名を要求しているが、これは含めていない論文も多く、実際そこまで必要性も感じないので下表では削った。とはいえ、含めている論文も結構多い。
  • in Proceedings of を in Proc. とするのは IEEE に倣った。なお、NeurIPS については Proceedings に Advances of ... という名称が付いているので in Advances of... という表記になるはずである。
  • 会議の略称に開催年が含まれるので別途年を表記しないのも IEEE に倣った。
  • ICLR には OpenReview.net が明記されている場合も多い。それをいうなら ICML にも PMLR を明記したり NeurIPS にも Editor を明記したりという書式もあるがどこまで表記すべきかまだわかっていない。
  • arXiv はしばしばみられる表記がこれだが、おそらく arXivbibtex に律儀に倣うとこうなる。

bibliography entry
会議 Jiong Zhang, Yibo Lin, Zhao Song and Inderjit Dhillon. Learning Long Term Dependencies via Fourier Recurrent Units. in Proc. 35th International Conference on Machine Learning (ICML 2018), vol. 80, pp. 5815-5823. https://proceedings.mlr.press/v80/zhang18h.html
会議(会議録に名称がある) Ashish Vaswani, Noam Shazeer, Niki Parmar, Jakob Uszkoreit, Llion Jones, Aidan N. Gomez, Lukasz Kaiser, and Illia Polosukhin. Attention is All You Need. in Advances in Neural Information Processing Systems 30 (NeurIPS 2017), pp. 5998-6008. https://papers.nips.cc/paper/2017/hash/3f5ee243547dee91fbd053c1c4a845aa-Abstract.html
会議(会議録に巻・号・頁がない) Nikita Kitaev, Lukasz Kaiser, and Anselm Levskaya. Reformer: the Efficient Transformer. in Proc. 8th International Conference on Learning Representations (ICLR 2020). https://openreview.net/forum?id=rkgNKkHtvB
arXiv Sinong Wang, Belinda Z. Li, Madian Khabsa, Han Fang and Hao Ma. Linformer: Self-Attention with Linear Complexity. CoRR, abs/2006.04768, 2020. https://arxiv.org/abs/2006.04768

この表の他にも書籍やウェブサイトなども引用の書式を考えるべきだが面倒になってきた。