
一昨日、佐藤和俊七段が渡辺明三冠に勝利して、以下のサイトでの両者のレーティングが 変化しましたね。以下のサイトでのイロレーティングの定数値
は
ですから、一回のレーティング変化の理論上限が
であり、
というのは相当大きな変化ということになります。
12月20日対局前 | 12月20日対局後 | |
---|---|---|
渡辺明三冠レーティング | ||
佐藤和俊七段レーティング | ||
佐藤和俊七段が渡辺明三冠に勝利する確率 | ||
渡辺明三冠が佐藤和俊七段に勝利する確率 |
…さておき、上の表をみると、佐藤和俊七段が渡辺明三冠に勝利する確率(またはその逆)が、12月20日の対局の結果を受けて 13.68% から 15.70% に更新されていますが、まるでベイズ推測のようではないですか? であれば、更新の度合い

…まぎれもなく12月20日の対局の結果を受けて更新されてはいるよね。ただそれがベイズ的かどうかは、ベイズ推定の枠組みにはまるかどうかという気がするけど…「佐藤和俊七段が渡辺明三冠に勝つか負けるか」の確率モデルはベルヌーイ分布だよね。なら共役事前分布はベータ分布 になる。以下の日記でやったコイン投げの例だね。
ベルヌーイ分布のベイズ推測 | イロレーティング | |
---|---|---|
対局前の勝利確率 | ||
対局後の勝利確率 |
ベルヌーイ分布のベイズ推測 | イロレーティング | |
---|---|---|
対局前の勝利確率 | ||
対局後の勝利確率 |
ベルヌーイ分布のベイズ推測 における各パラメータの役割 | イロレーティングをベイズ更新と 解釈すると対応するもの | |
---|---|---|
事前分布 | 予め相手に | 自分の平均的プレイヤーへのオッズ |
事前分布 | 予め相手に | 相手の平均的プレイヤーへのオッズ |
ベイズ逆温度 | 対局結果を |
も
も、対局結果を全く取り入れないことに相当する。
も
も、対局結果にしたがい勝った方の勝率を
にすることに相当する。
- 自分のオッズ
が大きいほどそれに比例して対局結果を水増しする。
- 更新の度合い
が大きいほど指数関数的に対局結果を水増しする。
- (勝ったとき)事前の負け確率
が大きいほど指数関数的に対局結果を水増しする。

ん? や事前の負け確率が大きいほどレーティングが大きく変動するのはわかります。そのような定義式ですし。でも、自分のオッズ
が大きいほどレーティングは大きく変化するということはありませんよ? レーティング変化は水準によらず、
に事前の負け確率をかけた数値です。

レーティングはね。でもレーティングと勝利確率は違うよ。例えば冒頭の対局結果は両対局者のレーティングが 400 ずつ低かったとしても対局前後の勝利確率は同じになるけど(勝利確率はレーティング差にしか依存しないからね)、レーティングが低い(オッズが小さい)のに同じだけの勝利確率の変化をさせたかったら、対局結果をオッズをかけて取り込まないといけないって感じかな。ただそもそも上の定義だと「予め相手に 回勝っていたと考える」の
が自分のオッズだから自分のオッズが大きいほど強い事前信念をもっている感じになっちゃうんだよね…全体を自分のオッズで割ってからベイズ推測とイロレーティングを対応させた方がよかったかな…。
ベルヌーイ分布のベイズ推測 | イロレーティング | |
---|---|---|
対局前の勝利確率 | ||
対局後の勝利確率 |