読んでいる本(出典): 数理論理学 | 戸次 大介 |本 | 通販 | Amazon
以下、第5章後半の自分の理解。
最後の節(標準形)がまだ読めていないので、後でこの記事に加筆するか、新しい記事にまとめる。
前回までのあらすじ(一階述語論理の統語論)
- 命題論理では扱えない「すべての について~」「ある が存在して~」のような知見を表現すべく、論理式を名前と述語に分けます。
- や といった量化子を導入します。
- 論理式がすごい増えてしまいそうですが、自然数で番号付けできます(ゲーデル数)。
- 但し、論理式のパーツになる記号の集合 は高々可算集合とする。
一階述語論理の意味論
- 命題論理のときと同様、「 論理式の集合 真偽の領域 」であるような解釈 を考える。
命題論理のときは、 は「原子命題の真偽の組合せの全パターン」ということで 原子命題の数 個あった。
一方、一階述語論理では原子命題がさらに項と述語に分かれるので、「各項が指し示しているもの」「各述語について、項が指し示しているものに対応する、論理式の真偽」として考えるのがよい(構造 )。
あと変項もあるので、変項に何を割り当てたかも論理式の真偽にかかわる(割り当て )。
つまり、ある1つの解釈 を与えるには、以下を完全に決めればよい。- そもそもどんなものたちについて命題を述べるのか(存在物)の集合:
- 名前記号が指す存在物は何か:
- 個の存在物に項演算子を適用したときに指す存在物は何か:
- 個の存在物に項述語を適用したときの真偽はどうか:
- 変項に何を割り当てたか:
Ex.あるゲームのキャラクターたちについて命題を述べるとする(以下、ネタバレな上にしようもない例)。
をダンガンロンパのキャラクターの構造とすると、苗木誠, 舞園さやか, 桑田怜恩, 。
名前記号から存在物への対応付けは例えば、 苗木誠 , 舞園さやか , 。
例えば が「 を殺した犯人」のような1項演算子なら、 舞園さやか 桑田怜恩 。
例えば が「 は を殺した」のような2項述語なら、 苗木誠, 舞園さやか 。
このように、各名前記号が指す存在物、各項演算子が指す存在物(項が指す存在物による)、各項述語の
真偽(項が指す存在物による)を完全に決めれば、この論理体系のすべての基本述語の真偽は完全に決まる。
※ ここで、「桑田怜恩が舞園さやかを殺したから 舞園さやか 桑田怜恩」ということではなく、
あくまで という1項演算子をこの写像で定義したということに注意。
※ ただ、 が本当に「 を殺した犯人」になるように定義されていて、 が本当に「 が
を殺した」かどうかを表すように定義されているなら、 はどの解釈でも真になりそう。
殺されていないキャラクターを代入したときの取り扱いは適切にする必要があるけど。
他方、別の解釈の下では、論理体系にはスーパーダンガンロンパ2のキャラクターの構造 が当てはめられて
いるかもしれない。日向創, 七海千秋, 。
この場合の名前記号の対応付けは例えば、 日向創 , 七海千秋 , かもしれない。
をダンガンロンパのキャラクターの構造とすると、苗木誠, 舞園さやか, 桑田怜恩, 。
名前記号から存在物への対応付けは例えば、 苗木誠 , 舞園さやか , 。
例えば が「 を殺した犯人」のような1項演算子なら、 舞園さやか 桑田怜恩 。
例えば が「 は を殺した」のような2項述語なら、 苗木誠, 舞園さやか 。
このように、各名前記号が指す存在物、各項演算子が指す存在物(項が指す存在物による)、各項述語の
真偽(項が指す存在物による)を完全に決めれば、この論理体系のすべての基本述語の真偽は完全に決まる。
※ ここで、「桑田怜恩が舞園さやかを殺したから 舞園さやか 桑田怜恩」ということではなく、
あくまで という1項演算子をこの写像で定義したということに注意。
※ ただ、 が本当に「 を殺した犯人」になるように定義されていて、 が本当に「 が
を殺した」かどうかを表すように定義されているなら、 はどの解釈でも真になりそう。
殺されていないキャラクターを代入したときの取り扱いは適切にする必要があるけど。
他方、別の解釈の下では、論理体系にはスーパーダンガンロンパ2のキャラクターの構造 が当てはめられて
いるかもしれない。日向創, 七海千秋, 。
この場合の名前記号の対応付けは例えば、 日向創 , 七海千秋 , かもしれない。
- 量化論理式 の真偽を解釈するには、 への割り当てをすべての存在物に変異させる(というより、これが という論理式の定義そのものである)。
- すべての について である.
- となる が存在する.
- 解釈について、以下が成り立つ。
- その変項が項/論理式の自由変項でないなら、その変項を変異させても項が指す存在物/論理式の真偽は変わらない。
- 項/論理式の変項にある項を代入した上で解釈しても、解釈の割り当ての変異によって変項をある項に変えても、どちらの場合も項が指す存在物/論理式の真偽は変わらない。
- 項 と が指す存在物が同じなら、項/論理式の変項を に変異させても に変異させても項が指す存在物/論理式の真偽は変わらない(外延性)。
一階述語論理における妥当な推論
- 意味論的含意の概念は一階命題論理のときと同じ。
- 量化論理式が推論の前提 or 帰結になる場合に色々な定理が成り立つ。
練習問題5.48
項述語に渡せる項のセットのパターン数は、 パターンある。
それぞれのパターンが1か0を取りうるので 項述語は 種類ありうる。
例えば、 で、 だったら、項述語 は16種類ある。
項述語に渡せる項のセットのパターン数は、 パターンある。
それぞれのパターンが1か0を取りうるので 項述語は 種類ありうる。
例えば、 で、 だったら、項述語 は16種類ある。
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | ||
1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
練習問題5.55
- 「奇数の二乗は奇数である」は真だが、 奇数 奇数 は、 に例えば を割り当てたとき偽。
- 「二乗が奇数であるような奇数が存在する」は真で、 奇数 奇数 も真だが、前者は を割り当てると偽で、後者は を割り当てても真(というか後者はどんな数を割り当てても真)。
練習問題5.58 面倒なので略。
練習問題5.60 面倒なので略。
練習問題5.62 面倒なので略。
練習問題5.65 面倒なので略。
練習問題5.82 面倒なので略。
練習問題5.84 面倒なので略。
練習問題5.86 面倒なので略。
練習問題5.88 面倒なので略。
練習問題5.90 面倒なので略。
練習問題5.91
を証明するには、二重否定律より なので、これに量化論理式の置き換えを用いて 。これと に対し複合論理式の置き換えを適用。
を証明するには、二重否定律より なので、これに量化論理式の置き換えを用いて 。これと に対し複合論理式の置き換えを適用。
所感
- 「 は哺乳類である」「 は卵生である」の変項 に「友達の鈴木君」を割り当てる(98ページ): 確かに友達の鈴木君は哺乳類だし、卵生ではないけど、鈴木君的には友達からの扱いが「哺乳類の一個体」でいいのだろうか…。
- 集合における外延性は、「集合はそれが含む要素によって一意に定まる」。外延性の公理 - Wikipedia
一階述語論理の解釈の外延性(定理5.64)は、「論理式の真偽は項が指す存在物によって一意に定まる」。当たり前に感じられすぎてよくわからない。「定義されたこと以外は知らないふりをする《知らないふりゲーム》」(数学ガール ゲーデルの不完全性定理の31ページ)は、こと「ある論理式が真か偽か」については経験がありすぎるので難しい。 - ラムダ計算(114ページ)って何。